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日本スポーツ歯科医学会第32回総会・学術大会

大会長挨拶

 一般社団法人日本スポーツ歯科医学会第32回総会・学術大会
大会長  木本 一成(神奈川歯科大学歯学部健康科学講座口腔保健学分野 准教授)

   本年9月21,22日に(一社)日本スポーツ歯科医学会第32回総会・学術大会単独プログラム(於 神奈川県歯科保健総合センター等: JASD横浜大会)を,翌23~25日に 24回日本歯科医学会学術大会併催プログラムを開催する運びとなりました。単独・併催の両プログラムによって実り多き学術大会にするため,関係諸団体と準備を進めております。
 第32回オリンピック競技大会(2020/東京),ならびに東京2020パラリンピック競技大会開催がコロナ禍によりまして1年延期され,2021年に本(第32回) JASD横浜大会と同年に

横浜市で開催することになりました。以前より,運動習慣・身体活動レベルによって糖尿病,循環器疾患,がん,認知症,ロコモティブシンドローム等をリスク低減できることが明確に示されておりましたが,運動不足によって新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の重症化やCOVID-19に関連した死亡リスクが高いことが米国カリフォルニア州KPSC健康プランメンバー18歳以上の48,440人を対象に解析され,この重症化や死亡リスクを防ぐためには習慣的に運動を実践することが勧められるとの結論が指摘されました(Br J Sports Med. doi.10.1136/bjsports-2021-104080)。国民からトップアスリートを含めたすべての人々における「運動習慣・身体活動レベルと新興感染症等のリスク低減との関連性」は,まさに興味深い解析結果であります。
  JASD横浜大会のメインテーマは,近年のスポーツ歯科医学を取り巻く環境の発展的変化に対応できるように,スポーツ歯科医学の学術団体として臨床・フィールド等の学問を実践すべく,「Proactive Safety and Enjoy the Excitement of Sports !!」(積極的な安全対策でスポーツの感動・興奮を楽しみましょう !! )といたしました。このテーマに沿って特別記念講演,基調講演,教育講演,特別講演等を企画いたしました。特別記念講演は公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問(国際オリンピック委員会名誉委員・公益財団法人日本オリンピック委員会名誉委員)の猪谷千春さまに,第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の話題や今後のオリンピック・パラリンピック競技大会の在り方をご講演いただきます。第32回オリンピック競技大会(2020/東京)での33競技種目のうち12競技種目(ハンドボール・セブンズ・ホッケー・水球・3x3・バレーボールの6球技系,ボクシング・レスリング・空手の3格闘技系,馬術・近代五種・サーフィンの3技術系)で試合・練習会場にアスリートのためのコラボレーターデンティスト(Athlete Dentist)の配置, また選手村ポリクリニックにおける歯科治療やカスタムメイドマウスガード製作等について関心が高まっております。基調講演は公益財団法人神奈川県スポーツ協会専務理事(公益財団法人日本スポーツ協会理事)の小野 力さまに,教育講演は公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構専務理事の浅川 伸さまに,特別講演は独立行政法人日本スポーツ振興センタースポーツ・インテグリティ・ユニット長の猪股康博さまにご講演いただき,またSDHセミナー,DTセミナー,ポスター発表17演題,2つの企画講演(小児の運動能力の育成,成人・高齢者等へのコラーゲン由来ペプチドによる身体機能調節)等を計画し,鋭意準備中でございます。さらに,翌23日から開催の24回日本歯科医学会学術大会との併催プログラムではe-ポスター(JASDセッション37演題),今後のマウスガード普及啓発等に関するマウスガードシンポジウム(S017) を企画し,わが国でのスポーツデンティストの役割等に関する日歯企画シンポジウム(JS001)をサポートいたしました(https://site2.convention.co.jp/24jads/program/)。
 最近のわが国のトップアスリートの秀でた成績は目を見張るものがあり,Sho-Time・Green Jacket・全米女子OP・世界統一王者・全豪等のキーワードや,「努力は必ず報われる」のセンテンスを耳にすれば,アスリート達の笑顔が脳裏をよぎるものと思います。筋書きのないドラマによるスポーツの感動と興奮はその瞬間に宿ることから,スポーツの感動と興奮を楽しむために積極的に安全対策を講じることは,トップアスリートのみならず,多くの国民が邁進しなくてはならないものと考えます。スポーツは世界と未来を変える力を有しておりますが,そのスポーツの精神に背く行為は公平・公正に反します。スポーツ・インテグリティ(スポーツにおける誠実性・健全性・高潔性・品位・公平性・公正性・安全性)の保護・強化のためには,我々歯科医療従事者はドーピング違反・ガバナンス欠如・八百長・違法賭博・暴力・ハラスメント・差別・反社会的行為等の脅威からすべての人々を守る取組みと,クリーンでフェアなスポーツの実現のための行動規範を理解し,スタッフの一員として健康づくりとQOLの向上やスポーツの価値の保全に寄与しなくてはなりません。
 有意義な学術大会になりますよう,皆様のご参加とご支援をお願い申し上げるとともに,是非,活発な学術交流と「オールジャパン」でわが国をはじめ世界のスポーツ歯科医学の潮流を考究いただき,本JASD学会員とともにスポーツを愛する全ての国民の皆様にとって意義深いものになることを期待しております。全国から数多くの先生方のご参加を,関係者一同,心よりお待ち申し上げております。
 (なお,今後の社会情勢の変化に伴い,☆ JASD横浜大会開催形式等が変更になる可能性がありますので,大会ホームページhttps://www.lynx-dent.jp/jasd32/にて最新の情報をご確認ください。ご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。)